アダルトチルドレンとは?〇〇期を越えていない人

アダルトチルドレン(AC)という言葉は、精神医学や心理学の界隈で一時ブームとなった言葉であり、今も様々な人に対して様々な使われ方がされています。

今回はこのブログでも、ACについて取りあげてみようと思います。

目次

一般的な定義

WikipediaではACについてこのように書かれていました。一部、抜粋します。

「AC」は元々アメリカで生まれた言葉で「親がアルコール依存症の家庭で育って成人した人」という意味。

ただし日本においては「親や社会による虐待や家族の不仲、感情抑圧などの見られる機能不全家族で育ち、生きづらさを抱えた人」を指すことが多い。

この定義が言いたいことは察します。

本人の自覚があるにせよ、ないにせよ彼らが「生きづらさ」を抱えていることは事実です。

しかしながら、このブログではACを異なる意味で説明しようと思います。

次回以降の記事に書きますが、ACは、虐待を受けて育った被虐者とも、正常知能に届いていない「境界知能」や「軽度知的障がい」とも、異なる人々であることを先にお伝えしておきます。

本ブログでの定義

さて、アダルトチルドレンを意訳すると「身体は大人だけれど、心は子供のまま未熟な人」と言えるかと思います。これがどういうことか紐解くにまず、定型の心理発達の順序を確認します。つまり

人は身体だけではなく心も

乳児期⇒(イヤイヤ期を越えて)学童期⇒(思春期を越えて)成人期

へと順番に成長していく。

これに当てはめれば、ACは

「イヤイヤ期は通過したけれど、思春期を越えられなかった人。心が学童期(小学校高学年~中学生くらい)で止まっている人」と言えます。これが本ブログで指すACの定義になります。

外(親)にあった規範が中(自分)へ

心が学童期で止まっている人、ということについてもう少し紐解きます。キーワードは「(生きていく上で必要な)規範」※です。これが心の発達段階によってどのように変化していくのか、みていきましょう。

規範とは法律・マナー・規範・常識・価値観など、明文化されたものから暗黙の了解のものまで、一括りにした概念を想定しています。

①乳児期は規範を理解しませんが、「お母さんが笑うこと=良いこと、お母さんが怒ること=悪いこと」といった、規範の土台が育まれます。

②イヤイヤ期になると簡単な規範を理解し始めます。(お友達を叩いてはいけない等)

③学童期になると他者理解も発達し、規範の理解度が加速し、守れるようになっていきます。ただし学童期までは、規範=親(や先生)にあるため、理解はしているものの、「お母さんが言うから」が根っこにあります。規範はお母さんの中、つまり自分の中にはない状態です。

思春期になると「親の言うことは本当に正しいのか?」と疑問を持つようになり、親から教わった規範を土台(あるいは反面教師)にして自分の中に規範を作り直します。外にあった規範が崩れ、自分の中に規範が形成された瞬間です。

成人期になると、更に試行錯誤された規範が自分の中に定着していきます。

こうして人は大人になると、親の規範に従うのではなく自分の規範に従うようになります。成人期の人は、(親への敬意も持っているため)親からのアドバイスに耳は傾けるものの、アドバイスを採用するか、しないかを自分で判断します。そしてその結果の責任は自分で取ります

ACの規範は親にあるまま

一方、ACの人というのは生きるべき規範は相変わらず親にあるままなので、

「親の言うことは聞かないといけないもの・親の価値観が絶対。親の言うことを聞いてさえいれば安心で、あとは親が責任を取ってくれる。」という親子関係です。子供の内はそれが普通ですが、AC大人になってもその関係を継続しています。産まれてからの親子関係、つまり親が「上」で子が「下」の関係で留まっており、成人して社会人になっても、親と大人同士の対等な関係になることはありません。

ケーススタディ

一つ例を挙げてみましょう。

一日中、ゲームをして過ごした人がいるとします。彼の家族は外出中です。頼まれた買い物も行けていません。

学童期(10歳)orAC(25歳)の場合。

「やばい。つい一日中ゲームやっちゃったよ。買い物にも行っていないし、お母さんに怒られるぞ…。」

親が帰ってきて案の定怒られる。

「一日中ゲームしてたなんて信じられない!なんで怒られるか分かってるわね?!」

「買い物行ってないし、目も悪くなるから……。」

「そうよ!分かってるならどうして止められないの!まったくもう…これからお母さんが買い物に行ってくるわよ!

「・・・。」

成人期(25歳)の場合。

「しまった。つい一日中ゲームやっちゃったよ…。買い物にも行ってないし。はあ…また一日を無駄にしてしまった。俺って自分に甘いよなあ。こんなだから彼女もできないし、仕事も成果出せないんだよなあ…

親が帰ってきて案の定怒られる。

「一日中ゲームしてたなんて信じられない!もう大人なんだからしっかり自分の生活くらい自分で管理しなさい!買い物、今からちゃんと行ってきてよね!

分かってるよ…

両者の違い、いかがでしょうか。

ACの人や学童期の子供は、長時間ゲームをしてはいけない理由を一見ちゃんと言えています。間違ったことは言っていません。しかしこれは恐らく以前親から言われたことのあるセリフをコピーして言っているだけです。彼の関心は「親から怒られる」ことにあり、自分のだらしなさはさほど気にしていませんし、買い物もちゃっかり親に任せています。

一方成人期の場合は、「やるべきことをやらなかった」つまり自分の中にある生きるための指針、彼でいえば社会人として、成長するために必要な規範を破ってしまった事へ罪悪感を抱いています。それは親から怒られること以上に、辛いものであるはずです。買い物も当然自分で行きます。

この例はあくまで一例ですが、規範が親(外部)にあるのか、自分自身(内部)にあるかの違いを示しており、ACを定義するうえで重要な要素となります。規範が内部に出来上がってこそ、人は自分の行動に責任を取るようになります。また大人は規範が内部にあるからこそ、状況に応じて自分で判断し、臨機応変に対応できますが、子供(AC)は外部にあるので自分で判断できず、融通が利きません。

次回以降はどんな人がACになりやすいのか、被虐者や境界知能・軽度知的障がいとはどのように違うのか、ACの人が抱える問題、ACを脱却するために必要なことなどについても記載していこうと思います。

最後までブログをお読み頂き、本当にありがとうございます。もし少しでも参考になったと思っていただけた場合は、バナーをクリック頂けると、ブログ更新の励みになります。では、また次回の記事でお会いしましょう。

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