知的障がいの「軽度」と「境界」とは?

本ブログに足を止めてくださり、有難うございます。この記事では、「軽度知的障がい」や「境界知能(ボーダー)」等への言及があります。こちらの記事をご覧いただくにあたっては事前に下記の記事をご覧いただくようお願い申し上げます。

「知的障害(知的能力障害)」というと、皆さんはどんな方のことを思い浮かべますか?

・知能に遅れがあり、自立した生活が難しい

・社会的に弱い立場の人たち、守られるべき人たち

一般的には例えばそのようなことが連想されるのではないでしょうか。

福祉等に従事していなければ普段はあまり見かけないけれど、たまに街中や駅などで出会うこともありますね。困っているようであればサポートを名乗り出たり、見守ったり、あるいは、あまりジロジロ見ないようにしよう、などと心がけている方も少なくないでしょう。

一般の人たちが、「この方は知的障害をお持ちだ。」と分かるのは、主に中度(IQ:~50)・重度(IQ:~35)の知的障害の人たちです。顔つきや目線、話し方だったり、少しの観察である程度察しがつくかと思います。

中度・重度の知的障害の多くは、彼らが幼少期の頃に診断され、障碍者手帳を持っていたり、地域の見守りや保護的環境で暮らしており、介護・介助をする人が身近にいることが多いです。

彼らの人口に対する割合は、中度・重度・最重度を合わせても0.5%未満といわれていますが、福祉に馴染みのない多くの人からして、「中度・重度の知的障害」が「世の中の知的障害の全て」というイメージが少なからずあります。

一方、身近な人や知識がある方であれば、「軽度知的障害(IQ:~70)」と呼ばれる人たちがいることもご存じだと思います。人口割合は約2%なので、クラスに1人いるか、いないかという割合です。「軽度」と聞いた時のイメージはどうでしょうか。

・学校の学習についていけない。読み書き演算ができない。

・意思疎通が取りづらい。話が嚙み合わない。おっとりしている。

・自立した生活はどうにかできる。(介助は、基本的に必要ない。)

例えば上記のようなものかと思います。他の「中度」、「重度」も同じですが、一口に「軽度」といってもIQは50~70と幅がありますので、IQが低いほど早くに障がいを見つけられることもありますが、高い方のIQでは周りに障がいと気づかれないまま生活している人も多くおられるます。軽度知的障害の人で支援学級等に入れているのは、全体のわずか2割程度だとも言われています。

最後に取り上げるのが「境界知能(グレーゾーン)(IQ:70~85)」と呼ばれる人たちです。「境界」というのは「正常知能」と「知的障がい」との境界にある「医学的には障がいと定義されないけれど、正常知能とは言えない人たち」、という意味です。世間的にはその存在をまだあまり認知されていない人たちです。

彼らは、読み書き演算もできるし、挨拶も身なりも普通だし、一見自立した生活が送れているように見えます。なので、余程の専門知識を持つ人に出会わない限り、本人も周りも「境界知能」とは認識されないまま、生活しています。

一昔前はこのIQゾーンにいる人たちも「軽度」として定義されていましたが、現在の医学的定義では障害から外れており、福祉分野でも支援のほぼ対象外です。彼らの人口割合は約14%、7人に一人ですから、多くの人にとって実はかなり身近な存在です。

児童虐待というテーマで取り上げなければいけないのが、この「軽度知的障害」と「境界知能」の人々です。

「軽度」という名前から来る楽観的なイメージや「境界知能は知的障がいではない」という定義から、彼らは支援を受けることなく生きています。しかし、実際の社会生活は、多くのトラブルを抱え、それを放置したまま、そして本人は問題意識を持たないまま生活しています。

彼らが実際に社会生活をする際のイメージを、敢えて辛辣に伝えるならば、

軽度知的障害⇒ゴミ屋敷にしてしまう人、生活の上で必要な諸手続きができない人、お金の管理ができない人、年子で次々に子どもを産んでいる人

境界知能⇒親族や隣人、職場等の人間関係でトラブルが絶えない人

です。

もちろんゴミ屋敷も、人間関係のトラブルも、別の理由・要因で起こることは当然ありますし、熟慮の上で多産を選んだ方に不快な思いをさせてしまいましたが、上記は彼らの特性からして起きやすいトラブルの代表であることは事実です。

挨拶や少し話した程度で、彼らの特性に気づく事はありません。しかし、彼らが身近にいる人にとっては例え「軽度知的障害じゃないか?」などの認識まではなくても、「この人、少しおかしいな。」と感じていることもあるでしょう。

彼らは、正常知能の大人を相手にすれば、明らかに彼らの方が「弱い立場」「適切な支援を受けるべき存在」に違いありません。しかし、家という密室空間で、支援もないままに、彼らが子育てをしなければならないとすると、何が起きるでしょうか。

次回に続きます。

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