統合失調症.

ブログをご覧いただきありがとうございます。

みなさんは、統合失調症という病気を聞いたことはありますか。

代表的な症状として、幻覚・妄想・異常行動などが有名なこの精神疾患ですが、児童虐待と深い関りがある病気になります。

統合失調症の親による児童虐待は約1割(未満)と言われており、7割を占めると言われる軽度知的障がい・境界知能と比べると、割合としては少ないようにも見えますが、現実的には決して無視できない程の数の被害があります。今回は統合失調症の基本的な知識から、虐待との関連について書いていきます。

目次

統合失調症とは

統合失調症は、脳の様々な働きが低下することで、幻覚や妄想などの症状が起こる精神疾患です。

発症率

統合失調症の発症率は人口の0.7%と推計されています。ただし、親が統合失調症の場合の子の発症率は約10倍に跳ね上がります。

原因

統合失調症の原因はまだ解明途上にありますが、環境要因と遺伝要因とだと、約80%が遺伝要因で説明できるとされています。

他には遺伝要因+環境要因の複合説もありますがここでいう環境要因とはどのような育児をされたのかという意味ではなく、妊娠中にインフルエンザに発症した、など不可抗力的なものです。育った環境のせいだ、親の育て方が悪かったせいだ、などといった誤解が根強いですが、そこに医学的な根拠はありません

本人が統合失調症と関連強い遺伝子を持って生まれてくると、学童期までは普通に育ちますが、10代後半(受験や思春期などのストレスが生まれやすい時期)で高ストレスが強いられる状況下がトリガーとなり、発症するケースが多いようです。

ただしストレス環境はあくまでトリガーに過ぎず、原因ではありません。

発症時期

思春期~25歳ころ、遅くとも30代前半に発症します。逆に言えば、発症前までは通常の心理発達(=普通の子と同じように心が発達)しており、仕事・対人関係・生活能力などにも問題は見られません。

他の発達障害のように生まれた時からの特性ではないため、発症すると明らかに性格や能力面で変化が起きます本人も「出来ていたことが出来なくなる」といった変化に気づき、強いストレスや混乱、恐怖心を抱えています。

一方、発症前は理論上、通常の心理発達をしますが、家族に統合失調症患者や、(後で説明する)統合失調型障がい者(いわゆるパーソナリティ障がい者)がいる場合も多く、不適切な養育環境の中で育つことで、発症前から精神的な傷を抱えている場合も少なくありません。それはつまり、被虐待者に近しく、心理発達できていないということです。

統合失調症は遺伝要素が強いため、血縁者に発症者がいる場合、他にも発症している人がいる、あるいは将来的に発症する人が出てくる可能性があります。「親が統合失調症を患っていることによる不適切な養育環境」が「統合失調症は育った環境のせい」という誤解を招く一因となっているかもしれません。

症状

統合失調症の症状は陽性症状と陰性症状の大きく2つに分けられます。

陽性症状では、幻覚・妄想・無秩序な発語、頻繁な話の脱却、異常行動(暴力・徘徊・自殺企図)。

陰性症状では、うつ・絶望、疲労、学業・仕事への能力低下。

陰性症状は一種の「なまけもの」のように見えてしまいます。

※統合失調症の妄想・幻覚は、他の妄想・幻覚と比べて奇異。具体的には

・通常の妄想⇒「やくざに監視され、家に出るのが怖い。」「自分がしたいことと違う考えが思い浮かんでしまう」

・統合失調症の妄想⇒「やくざに監視され、家に出るのが怖い。やくざは実は某国の諜報員であり家の中には生物兵器を所持している。」「自分が考えたことが突然消え、違う考えに入れ替えられる

通常の幻覚⇒「近所の人が悪口をいっている(ようだ)」

統合失調症の幻覚⇒「隣人が悪口を言っているのが、換気扇からはっきり聞こえる

薬物の中には、陰性症状も含めた統合失調症の症状と非常によく似た症状を出させるものがあるため、留意が必要です。また、「対人恐怖」や「解離による異常行動」を抱える被虐者が誤診されることがあったり、「理解不足・低知能による場違いな言動や対人関係でのトラブル」を抱える軽度知的障がいが誤診される場合があることも注意が必要です。統合失調症患者は、途中までは正常な心理発達をしており、正常な社会理解をした経験・記憶を持っている点で区別できます。

経過

下記①②は陽性症状が中心。

①前駆期→引きこもり、成績低下や怠業、家族との対立、被害感、イライラ、不眠

②急性期⇒奇妙な言動、暴力・徘徊・自殺企図、暴力、妄想・幻覚

 ※急性期は(悪い意味で)行動力があるので注意が必要。

下記③④は陰性症状が中心。

③回復期→うつ・絶望、疲労感

④慢性期・寛解期・残遺期→学業・仕事への能力・意欲低下、人生の深い喪失感・挫折感

治療

統合失調症は治る症状と、治らない症状があります。完治はありません。

陽性症状は薬でおさまりますが、陰性症状は治らず、精神障害として残ります。

陽性症状⇒薬物療法、休養、精神療法

陰性症状⇒服薬、ストレス軽減(生活の安定)、リハビリ、精神療法(障害を抱えながらも毎日をよりよく暮らす)

陰性期となり、症状が落ち着きを得た後の再発率(再度の陽性症状)は、他の家族が、患者の病気を理解・受け入れた場合に比べ、患者を責め立てるなどストレス環境下に置いた場合だと、数倍の再発率になったとの研究もあるそうです。

統合失調症型障がい(=パーソナリティ障がい)

発症率は人口の3%と推計されています。遺伝的特徴が統合失調症と共通する点が多いですが、発症していない状態です。

奇妙・特異・攻撃的・非現実的な考え方。宗教・神秘的なものへの関心が強い。奇抜な行動・見た目。対人関係にトラブルが多い。統合失調症の代表的な症状である妄想・幻覚は基本的にはない。

統合失調症と異なり、途中での変化は起こらず(途中で発症するものではなく)、生まれつきの特性となります。軽度知的障がい・境界知能と異なり、知能は正常である点で区別します。

統合失調症と児童虐待

統合失調症の症状(幻覚・幻聴など)や統合失調症型障がいの特性を見れば少し想像できるかと思いますが、これらの症状・特性を抱えたまま育児を健常に行うことはほぼ不可能で、不可避的に虐待が起きます。具体的には

・妄想、幻覚時の衝動的な暴力・暴言

・思想の強制、儀式的なものの強制

・これらに派生したり逆らった際の暴力・暴言。(真冬でも冷水に浸からせて厄払いする、身体の一部を切断して悪魔祓い、生理などを迎えた際に汚らわしいとされて受ける性的な虐待など)

・異常な執着・監視。ストーキング等

統合失調症がいつ発症したかによって、子供たちへの影響は変わっていきます。例えば、産まれた時にすでに発症していたなら、子供は正常な心理発達はできず、典型的な被虐者心理となります。その後、学童期、思春期など、親の発症が遅ければ遅いほど、子供は心理発達を進めることが出来ます。しかし前述したとおり、統合失調症は若い時期に発症するため、仮に30歳で発症したとしても、余程の若年出産であっても育児への影響は免れないでしょう。

祖父母などが正常な方で、同居しているなど、常に子供を守れる環境であれば虐待をある程度防止し、子供たちの困難を軽減させられる場合もあるでしょう。ただ、統合失調症は、遺伝要因が強いので、祖父母や親せきなどにも発症・障害があったなら、大変厳しい環境となります。

とはいえ、統合失調症の陽性症状には投薬治療ができるので、統合失調症が発症したら早期に治療につなげ、虐待をおさめることが大変重要になります。

最後までブログをお読み頂き、本当にありがとうございます。もし少しでも参考になったと思っていただけた場合は、バナーをクリック頂けると、ブログ更新の励みになります。では、また次回の記事でお会いしましょう。

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