本ブログに足を止めてくださり、有難うございます。この記事では、「軽度知的障がい」や「境界知能(ボーダー)」等への言及があります。こちらの記事をご覧いただくにあたっては事前に下記の記事をご覧いただくようお願い申し上げます。
本日は下記記事の続編です。
少し前回の振り返りです。前回、「外見や少し話しただけでは分からないけれど、実は正常知能には届いていない人たち」、つまり「軽度知的障がい」や「境界知能」の人たちについて触れました。
彼らは中度・重度知的障がいの方のように常時介助や介護が必要ではないけれど
やはり生まれつきの脳機能障害は確かに負っており、例えば下記のようなことが同年齢の人たちの水準よりも低いと言われています。
・学力、記憶力
・抽象的思考や論理的思考
・経験による学習能力
・問題解決や判断力
これらは「頭を使う」ことであり、確かに知能が必要そうだと想像しやすいものと思います。
しかし今回取り上げる、意外と知られていない、苦手なこととは?
・相手の立場に立って考えること
・感情をコントロールすること
です。
これらは直観的に言えば頭というより心とか性格に起因していそうで、知能にはあまり関係がないような感じがします。
しかし実際は「読み書き演算」よりもずっと高度な知能が必要なものです。
「相手の立場に立つ」は、「相手の表情を読み取り、相手の状況を理解し、自分に置き換えて考えてみる」というものです。
「感情のコントロール」は、「自分の感情を客観視した上で、自分を制する」ことです。
私たちは常に、相手が自分の言動をどう感じるか気をつけて発言したり行動したりしますし、内心感情的になっても、それを出すのはまずい状況であれば、グッと我慢します。これらは、私たちが普段当たり前にやっていることですが、実は想像以上に高度で複雑な脳の営みであります。
これらのことを踏まえた上で、話を子育てにフォーカスしましょう。
相手の立場に立つことができないという点は子育てでどう影響するのか。
例えばこんなふうに影響します。
・表情を見て子どもの気持ちを想像、共感することができない。
→子の痛みが分からず、痛がること、嫌がることをやる。
・子どもの健康状態(お腹が空いていそう、暑そう、具合が悪そう、悲しそう、等)に気づけない。
→十分な食料を用意しないまま子供を置いて家を空ける、真夏の車中に残してパチンコに行く、怪我や病気をしていても気づかず病院に連れて行けない。
・子供の欲求や意見を汲み取った育児ではなく、気まぐれで一方通行な育児になる。
→唐突に習い事に通わせ、また唐突にやめさせる。子どもが喜ばないおもちゃを買い与える。期待や楽しみを奪うようなことをする。など
続いて、感情のコントロールができない、は子育てにどう影響するのか。
・夜泣きなどへのイライラに耐えかねて、乳児を激しく揺さぶる。叩きつける。
・感情の起伏が激しく、子供に長時間暴言を浴びせたと思えば、コロリと機嫌を直す。何に怒るかは不規則で、予想外なことも多く、子供は常に緊張している。など
色々と例を挙げました。要するに「こんなことしたら、子供は辛いだろう」と想像することが難しく、更には「我が子が辛いと自分も辛い」という共感力が低いか、欠如してしまっているため、虐待を自制し予防することができません。
世間ではこのような親に対して、「未熟な親」とか「自分勝手な親」、内容が酷ければ「残酷な性格」などと批判します。
確かに正常知能であることを前提にしてしまえばそのように映りますし、「なぜ我が子にそんなことができるのか」と疑問も浮かぶでしょう。
しかし根底にあるのは性格ではなく、知能の問題かもしれない、という原因の選択肢を知っておくと、先が見える場合があります。
今回は軽度知的障がいで起きやすい内容と、境界知能で起きやすい内容を区別せずに記載してしまっています。次回は、両者の特性の違いや、起きやすい虐待内容の違いについて書こうと思います。
最後までブログをお読み頂き、本当にありがとうございます。もし少しでも参考になったと思っていただけた場合は、バナーをクリック頂けると、ブログ更新の励みになります。では、また次回の記事でお会いしましょう。
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