健全な育ちに必要なギフト② 自〇

安心を獲得した子どもが、次に獲得する両親からのギフトについて書いていきます。

それは自我の獲得です。

更に突っ込んで言うならば、「いや!」という言葉を獲得させてもらうことです。

「いや!」という言葉はネガティブな印象があるかもしれませんが、実は最も大切な自己主張の一つと言えます。

この言葉を獲得するための期間が、イヤイヤ期です。親にとっては厄介な期間ですし、子ども本人にとっても心地の良い期間ではないでしょう。しかし、子どもが心理発達を遂げる上ではとても大切な期間なのです。

今回は子どもたちが獲得する「いや!」について考えていきましょう。

目次

はじまりの前提

抱っこされるばかりでお母さんに全てを委ねられた赤ちゃん期。

お母さんと四六時中一緒にいなければ不安で、どこまでもハイハイで追いかけてくる後追い期。

そしてイヤイヤ期は、「お母さんが見えれば安心」で、よちよち歩きで少しお母さんから離れることができるようになる頃に始まります。一歳半頃が多いように思います。激しく出るか、控えめに出るかはもちろん個人差ありです。

何をしなくても勝手に始まるものと思われかちですが、「お母さんに、イヤ!と言っても大丈夫。」と子が思える環境でないと始まりません。イヤイヤ期に移行できる土台はギフト①で書いた「安心」が必要不可欠になります。

よって、我が子にイヤイヤ期が始まった親御さんたちには「お子さんはちゃんとあなたを信頼できているし、心も成長しています。とりあえず、ここまでよく子育て頑張りましたね。」とまずは労いと祝福の言葉を贈りたいです。

イヤイヤ期で子が親に訴えたいこと

イヤ!というのはとても強力な自己主張です。

「寝たきりの赤ちゃんの頃のように、なんでもママにされるがままはもうイヤ。自分で決めたいんだ。」

という怒りのような感情です。この感情が芽生えることは、心がすくすくと発達している証です。健全な怒りのパワーを、小さな子ながらも強いエネルギーをもって放ち、親を圧倒します。

イヤイヤ期の渦中では、怒りをコントロールできず、むやみやたらにイヤイヤを連発します。親が熱くなって制止しようとすると、火に油を注いだかのように暴れて怒るのもよくあることです。

親は疲弊したりイライラしながらも、「○○ちゃん、イヤなんだね。」「そうだね、イヤだよね。○○ちゃんも大変ね。」と受け止め、付き合ってやります。

そして2年くらいかけて『いや』という言葉を自分のものにしていくのです。

個人差あれど大体は4歳になる頃には落ち着きます。(と言ってもママたちにとっては長いですが…)

親の受け止め

さて、上記でサラリと「親はイヤイヤ期に付き合ってやる」と書きましたが、丁寧に説明すると以下のようになります。

「親がさせたい事」は「いや!」、つまり親への拒否権を認めてやる事で

親と子は別の人間であり、子どもにも自我があるということを受け入れてやる、ということです。

幸いにも上記のように我が子を受け止められる親に恵まれた子どもたちは幸運です。無事にイヤイヤ期を成就し、自分の考えを持っていい、伝えていい、イヤな時はイヤと言っていいと分かり、安定します。もうむやみやたらにイヤ!を言わなくてもよくなるのです。イヤを獲得し、心理発達を遂げた瞬間です。

イヤイヤ期を成就した子どもは、乳幼児期から学童期へと心理発達します。

成就できない子どもたち

一方、イヤを親から拒否されたり、無視されたり、許されなければどうなるでしょう。自我が脅かされてしまい、イヤイヤ期は頓挫するか、あるいは始まることさえありません。

よって、赤ちゃんの頃からお母さんに虐待を受けていた場合、その赤ちゃんにはイヤイヤ期は来ないのです。虐待された幼子には、イヤということを親に訴える選択肢などなく、あるいは発想すらありません。そんなもの(=「イヤ」)が通じない経験を、赤ちゃんの頃からきっと何度も何度も何度も、何度もしてきているからです。幼さゆえ、イヤが言葉や顔に咄嗟に出てしまうこともあるでしょう。でもそんなことしたら、どんな目にあうのか、痛いほどに分かります。

イヤイヤ期を成就できなかった子どもたちは、拒否や自己主張ができないまま、年齢を重ねていくことになります。

心は乳幼児期の不安定なままです。

また、被虐ママにとってはイヤイヤ期の我が子と向き合うことは、大変な痛みを伴うことになります。自分自身が親に許されなかったこと、やらせてもらえなかったことを、我が子にしてやるのですから。

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