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「安心」を獲得した子どもが、次に獲得する両親からのギフトについて書いていきます。それは、「自我」の獲得です。
もう少し具体的に言えば、「いや!」という言葉を獲得させてもらうことです。「いや!」はネガティブな印象があるかもしれません。しかし実は、人が「自分」というものを持つための、最も大切な自己主張の一つです。
イヤイヤ期という大切な時間
「安心」を手に入れた子どもは、やがて2歳前後になると、突然「いや!」を連発するようになります。いわゆるイヤイヤ期です。
親にとっては厄介な期間ですし、子ども本人にとっても心地のよい時期ではないでしょう。しかし、この時期は子どもの心理発達にとって、とても大切な意味を持っています。
イヤイヤ期が始まるためには、前提があります。それは、子どもがすでに「安心」を獲得していることです。お母さんに気持ちを読み取ってもらい、名前をもらい、受け止めてもらった——その土台があるからこそ、子どもは「いや!」と声を上げることができるのです。
「いや!」とは、子どもが初めて発する「自分の意志」です。それは健全な怒りのエネルギーであり、小さな子どもながらに強い力をもって親にぶつけます。怒りをコントロールできず、むやみやたらにイヤイヤを連発し、親が止めようとすればするほど火に油を注いだように暴れる。それがイヤイヤ期です。
親の受け止めが「自我」をつくる
親は疲弊し、イライラしながらも、「○○ちゃん、イヤなんだね。」「そうだね、イヤだよね。」と受け止め、付き合ってやります。そして約2年かけて、子どもは「いや」という言葉を自分のものにしていきます。個人差はあれど、大体4歳になる頃には落ち着きます。
ここで親がしていることを丁寧に見てみましょう。
「親がさせたいこと」に対して子どもが「いや!」と言ったとき、親はその拒否権を認めてやります。「そうか、イヤなんだね。」と。
「子どもがしたいこと」に対しては、それを許してやります。「いいよ、やってごらん。」と。
つまり親は、子どもの「イヤ」と「したい」の両方を、一つひとつ受け止めているのです。この繰り返しの中で、子どもは少しずつ「自分の意志」というものを確かなものにしていきます。
「いや」が育てるもの
「いや!」を受け止めてもらえた子どもは、「自分には意志がある」「自分は自分であっていい」という感覚を得ます。これが「自我」の芽生えです。
自我を獲得した子どもは、その後の人生で、自分の意志で選択し、その選択に責任を持つことができるようになります。「これがしたい」「これはいやだ」という内なる声を感じ取り、それに従って行動すること。それが「自分の人生を生きる」ということの出発点になります。
さらに「いや」の経験は、思春期においてもう一度、形を変えて現れます。思春期の反抗もまた、「いや!」の延長線上にあります。親に向けた怒りを、親が受け止める。その繰り返しの中で、子どもは少しずつ「自分の人生は自分で決める」という覚悟を手に入れていくのです。
このギフトを得られなかった子どもたち
では、イヤイヤ期を受け止めてもらえなかった子どもはどうなるのでしょうか。
「いや!」を言っても無視されたり、怒鳴されたり、叩かれたりした子どもは、やがて「いや」と言うこと自体をあきらめます。「自分の意志を示すと、ひどい目に遂う」と学ぶからです。
その結果、自分の意志を持たないことで自分を守るようになります。親の顔色をうかがい、親の望む通りに振る舞い、「いい子」でい続ける。そうして「自我」を獲得できないまま、大人になっていくのです。
自我のない大人は、「自分が何をしたいのかわからない」「自分が何を感じているのかわからない」という空虚を抱えたまま生きていくことになります。それは、その人の責任ではありません。第二のギフトを、もらえなかっただけなのです。
次の記事では、子どもの健全な育ちに必要な第三のギフト——「境界線」について書いていきます。



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