前回記事では、健全と不健全の人間関係を分ける「土台」が、家のなかでどのように作られるのかを掘り下げた。
本稿ではその先——家を出てから現れる「相手の側」に焦点を当てる。支配する側はどんな人物なのか。どうやってターゲットを選び、どう関係を狭めていくのか。なぜ離れることができないのか、本稿で紐解いていく。
支配する側の実情
身近にある様々な人間関係の中に潜んでいる、一見ありふれた二人組。しかしその実情は、一方が支配し、もう一方が従う。支配する側は、「面倒見のいい人」「リーダーシップのある人」と周囲から評価されることもあるが、それは表面の顔にすぎない。一人の人間がもう一人の人間を静かに蝕んでいる。
相手の感情を操作する。自分の行動を正当化し、謝罪しない。平気で嘘をつき、自分にとって都合のいい話に作り変える。相手の言葉をすぐに歪めて受け取り、自分が被害者の立場に立ち回る。悪いことをしたという自覚そのものが薄い。相手の弱点を覚えていて、必要なときに引き出してくる。相手が弱っているほど関係を維持しやすい。異常なプライドの高さがある。弱い立場の人間を徹底的に利用する。
誰かを思い通りに動かしている状態でなければ、自分の輪郭を保てない(相互依存)。他人より上に立たないと自分を保てない弱さを持っている人物である。
選定眼
支配する側は、誰でも標的にするわけではない。明確な選定眼を持っている。
言い返してこない人。断ることに罪悪感を覚える人。空気を読みすぎて相手に合わせてしまう人。周囲に味方がおらず、孤立している人。
こうした特徴を持つ相手を、見抜くことに長けている。これらの特徴を兼ね揃える不健全な家庭で育った人たちは特に標的になりやすい。
「あの人とは距離を置いた方がいい」と助言してくれる人が支配される側の周囲に少ない、またはいないことも、事態を深刻にする。孤立した人間は、支配者にとって最も都合のよいターゲットだ。「この人は支配しやすい」と判断したとき、標的が定まる。
浸食の過程
支配する側は、必ずしも最初から支配的・暴力的ではない。
最初は優しく近づいてくる。困っているところに手を差し伸べ、味方のふりをし、信頼を得る。「こんなに自分のことを気にかけてくれる人は、これまでいなかった」と感じさせるように接する。
信頼関係ができあがると、少しずつ要求が始まる。最初は小さな頼みごと。やがて、相手の予定を管理し、交友関係に口を出し、判断を代行するようになる。
「あの人と付き合うのはやめた方がいい」「私がいないとあなたはダメ」
——こうした言葉で、相手の世界を自分だけに狭めていく。
関係が深まる頃には、支配される側はすでに、その人を経由しなければ何も決められなくなっている。何を着るか、誰と会うか、何を信じるか——小さな選択のすべてが、相手を通って戻ってくる。周囲とは疎遠になり、相談相手はその人だけになる。気づけば、相手の機嫌によって左右される自分が出来上がっている。
支配が長期化すれば、要求はエスカレートする。
仕事の押しつけや雑用から、金銭の要求が始まる。弱みを握られると加速し、相手の家族のなかにまで入り込んでいく。行きつく先は、職場での過剰な負担や日常的な暴言から、金銭の搾取、人間関係の囲い込み——その先に、詐欺や薬物への加担、宗教への巨額の献金、性的な搾取まで進むこともある。共通しているのは、支配される側がすべてを失うということである。お金、仕事、人間関係、そして自分自身を。








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